
2026年は、全国各地で豪雨や冠水による被害が相次いでいます。
7月上旬には九州北部で線状降水帯が発生し、8月13日には千葉県でレベル5大雨特別警報が発表されました。
その後も埼玉県で道路冠水や車両水没が相次ぎ、8月27日には石川県・富山県、
30日には福井県でもレベル5大雨特別警報が発表されています。
実際、千葉市では8月13日の豪雨で道路上の被災車両・立ち往生車両が多数発生し、
市が車両を移動・保管する対応を行いました。
さいたま市でも8月21日の大雨で48件の道路冠水が確認され、消防には車両水没に関する通報が10件寄せられています。
こうした被害を見ると、「残クレ利用中の車が水没したら、その後の支払いはどうなるのか」
「車両保険に入っていれば、ローン残債までカバーできるのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
当社では残価設定型クレジットを基本的に取り扱っていませんが、中古車の買取や買い替えのご相談の中で、
残クレ利用中のお車について、残債や売却方法などのご相談をいただくことがあります。
この記事では、残クレそのものの良し悪しを判断するのではなく、
これから車を購入する方が「月々の支払額だけでは見えにくい、もしものときのお金」まで考えられるよう、
ローン残債と車両保険の関係を分かりやすく解説します。
そもそも残クレとは?月々の支払いだけで判断しない

残クレ(残価設定型クレジット)は、数年後の車の価値を「残価」としてあらかじめ設定し、
車両価格の一部を最終回に据え置くことで、月々の支払額を抑えやすくする購入方法です。
契約満了時には、車を返却する、別の車へ乗り換える、
最終回の支払額を精算して乗り続けるなどの選択肢が設けられている商品があります。
ただし、「返却すれば必ず追加負担なく終わる」とは限りません。
例えばトヨタの残価設定型プランでは、残価保証の条件として、損傷や事故修復歴がないこと、
定められた走行距離を超えていないことなどが設定されており、条件を満たさなければ精算金が発生する場合があります。
車を購入するときは、「毎月いくら払うのか」だけでなく、最終回にいくら残るのか、
途中で売却するとどうなるのか、万一車が使えなくなった場合はどうなるのかまで確認しておくことが重要です。
残クレ車が水没して全損したら支払いはどうなる?

結論からいうと、車が水没して全損になったからといって、
残クレやローンの支払いが自動的になくなるわけではありません。
車が使えなくなることと、ローン契約上の支払義務は別の問題です。
契約内容によって扱いは異なりますが、ローン残債が残っている場合は、その残債を精算する必要があります。
例えばトヨタファイナンスでは、契約中の車が事故で全損した場合、
残っているクレジットを一括返済する必要があると案内しています。
車両保険に加入している場合は、受け取った保険金を残債の精算に充てることも考えられますが、
保険金だけでローン残債の全額をまかなえるとは限りません。
分かりやすく、次のようなケースを仮定してみます。
・ローン残債:350万円・車両保険金:300万円
この場合、単純計算では50万円の差額が生じます。
つまり、車両保険から300万円が支払われたとしても、ローン残債が350万円残っていれば、
保険金だけでは全額を精算できず、差額を別途負担しなければならない可能性があります。
もちろん、実際に支払われる車両保険金の金額やローン残債の精算方法は、保険契約やローン契約の内容によって異なります。
重要なのは、「車両保険に入っている=ローン残債が必ずすべてなくなる」わけではないという点です。
残クレを利用する場合は、月々の支払額だけでなく、万一の水没や事故で車が全損したときに、
ローン残債がいくら残るのか、車両保険からいくら支払われる可能性があるのかまで確認しておくことが大切です。
※参考:トヨタファイナンス「契約中のクルマが事故全損や盗難の場合、支払はどうなりますか?」
豪雨・洪水による水没は車両保険の対象になる?

車両保険を付けている場合、台風・洪水などによって車が損害を受けたときは、補償対象となるのが一般的です。
日本損害保険協会でも、車両保険を付けている場合、
台風や洪水などの風水災等によって自動車が損害を受けたときは保険金が支払われると案内しています。
ただし、契約タイプによっては補償されない場合があるため、契約内容の確認が必要です。
一方、地震・噴火・津波による損害は、一般的な車両保険では原則として補償されません。
保険会社によっては、これらの損害に備えるための特約が用意されている場合があります。
そのため、車を購入するときは、「車両保険に入っているか」だけを見るのではなく、
「豪雨や洪水による水没が対象なのか」「車両保険金額はいくら設定されているのか」
まで確認しておくことが大切です。
※参考:日本損害保険協会「風水雪災等による損害を補償する損害保険」
車が全損したら、購入価格がそのまま戻る?

これも誤解しやすいポイントです。
車が全損と判断されたからといって、購入時の価格がそのまま保険金として戻るとは限りません。
一般的な車両保険では、契約時に設定した車両保険金額などに基づいて保険金が支払われます。
一方、ローン残債はローン契約に沿って減っていきます。
つまり、車両保険で設定される保険金額とローン残債の減り方は必ずしも一致しません。
特に購入して間もない時期や残債が多く残っている時期には、保険金だけでは残債をすべて精算できない可能性があります。
車両保険を検討するときは、単に「入る・入らない」だけではなく、
万一全損したときにどの程度の補償になるのかを確認しておくことが重要です。
車が水没したら、まず何をすればいい?

車が冠水・水没した場合は、まず自身の安全を確保してください。
そして、水が引いても自分でエンジンを始動しないことが重要です。
JAFでは、冠水した車は電装系のショートやエンジン破損、ブレーキ機構の異常などのおそれがあるため、
点検まではエンジンを始動しないよう案内しています。
安全を確保したうえで、保険会社やロードサービスへ連絡し、必要に応じて販売店・修理工場へ相談しましょう。
安全に撮影できる場合は、車両や浸水状況を写真・動画で残しておくと、その後の確認にも役立ちます。
なお、大雨による保険金請求では、地方自治体の罹災証明書は原則不要と日本損害保険協会が案内しています。
必要書類は状況によって異なるため、加入している保険会社へ確認してください。
残クレ車が水没したら、販売店へ返却すれば終わる?

水没した車を返却するだけで、残クレの支払いが終了するとは限りません。
残価設定型クレジットでは返却時の車両状態に条件が設けられている商品があります。
また、所有権が販売店や信販会社にある場合、使用者だけの判断で売却や廃車を進めることはできません。
水没・全損した場合は、残債、車両保険、車検証上の所有者、全損後の車両の扱いを確認し、
販売店・信販会社・保険会社へ相談してから手続きを進めましょう。
車を買う前に確認しておきたい5つのこと

豪雨や水害そのものを完全に防ぐことはできません。
しかし、購入時に契約内容を確認しておけば、万一の際の想定外の負担を減らすことができます。
― 確認リスト ―
①最終回の支払額
②途中売却・買い替え時の精算方法
③豪雨・洪水が車両保険の対象か
④車両保険金額とローン残債の関係
⑤全損時の買い替えを補う特約の有無と条件
月々の負担だけでなく、「もし明日、この車が使えなくなったらどうなるのか?」という視点も持っておきましょう。
よくある質問FAQ
Q. 残クレ車が水没したら、ローンの支払いを止めてもいいですか?
自己判断で支払いを止めるべきではありません。
水没・全損してもローンの支払義務が自動的になくなるとは限りません。
販売店や信販会社へ残債と精算方法を確認してください。
Q. 駐車中の車が豪雨で水没した場合も車両保険は使えますか?
契約内容によっては補償対象になります。
台風・洪水・高潮などによる損害は一般的な車両保険の補償対象に含まれますが、契約内容を確認してください。
Q. 車両保険金よりローン残債の方が多かったらどうなりますか?
保険金だけで残債を精算できない可能性があります。
車両保険金額とローン残債は別々に決まるため、差額が生じる場合があります。
Q. 残クレ利用中の車は途中で売却できますか?
売却できる場合がありますが、残債と所有権の確認が必要です。
所有権が販売店や信販会社にある場合は、一般的に残債の精算と所有権解除などの手続きが必要になります。
Q. 洪水と津波では、車両保険の扱いは同じですか?
一般的には異なります。
台風・洪水・高潮は補償対象となる契約がありますが、
地震・噴火、それらによる津波は一般的な車両保険では原則補償されません。
まとめ|月々の支払いだけでなく「もしものとき」まで考える
2026年は九州をはじめ、千葉県など全国各地で豪雨や冠水による被害が発生しています。
こうした水害は、車の購入方法や保険について考え直すきっかけにもなります。
残クレそのものが良い・悪いということではなく、車両保険も加入していればすべて解決するわけではありません。
大切なのは、「途中で売る場合」「水害や事故で全損した場合の残債」「保険でどこまで補償されるか」
まで理解したうえで車を購入することです。
ローンが残っている車の売却や買い替えでは、契約内容によって手続きが異なります。
不明な場合は販売店・信販会社・保険会社へ確認しましょう。
当社でも、中古車の売却や買い替えに関するご相談を承っています。